『鎮痛剤』は使わないほうがいい?
今日はマザーズオフィス主催の『知っておきたい薬の知識(鎮痛剤)』をオンラインで受講してきました。
↑これは家にあった鎮痛薬。市販薬や常備薬、処方薬まで勢ぞろいでした・・・
アロマテラピーやハーブを勉強していると、必ず『鎮痛』という言葉が出てきます。
同時に、『鎮痛剤は使わない』『薬は使いたくない』
そんな声も度々伺います。
なるべく薬を使いたくなくて、アロマテラピーを勉強したいという方も多いと思います。
アロマテラピーは確かに『痛み』にとてもいい役割を果たしてくれることがあります。
でも、果たして鎮痛剤は使うべきではないものか?
私個人は、『痛みの原因による』『痛みの程度による』とも思いますし、日常生活に支障をきたしたり、痛みで辛くて辛くて苦しい状態なら、薬に頼っていいと思う。
という立場です。
「薬に頼ることは悪いことじゃない」
サロンに来てくれるお客様にも何度も伝えた言葉です。
2年前にも全く同じ内容の記事を書いていました。
私は2度、腰の手術を受けています。
手術を受ける前、朝は痛み止めの座薬を使ってからでないと全く起き上がれませんでした。だからトイレさえも行けない。顔を両手で洗うことが全くできませんでした。
仕事が終わる頃には痛み止めの効き目も切れて、また脚を引きずって車までやっとたどり着く。
手術直前には週2回、午前中に腰に直接麻酔を打つ処置をして、脚の感覚が戻ったら病院から直接仕事へ向かう。
(腰に麻酔を打つと、1時間くらい脚の感覚が全く無くなるので立てないのです)
そんな日々を何か月も過ごしていました。
大の大人が、痛みで『痛いよー』って泣くんです。
妊娠中も腰が痛くて痛くて、杖をついて歩いていた時期もありました。
痛みって、心を削ります。
長い年月痛みで苦しんでいる患者さんはうつ状態である場合も多いです。
痛みの閾値って本当に個人差が大きいし目に見えるものではないので、第三者から『ああしたほうがいい』『こうしたほうがいい』と簡単に言えることではないと思っています。
緩和ケアの分野では『トータルペイン』という概念があります。
身体的苦痛・精神的苦痛・社会的苦痛・スピリチュアルペイン(魂の苦痛)
全ての痛みは繋がっているし、個々に存在するものではないという考え方です。
ホスピスに入院中の患者さんのお話。
15分置きに麻薬性鎮痛薬を使っても(専門用語ではレスキューといいます)痛みのコントロールがなかなか上手くいかない。
どうにか苦痛を取り除きたい。と医師・看護師をはじめとする病棟スタッフが毎日毎日話し合いを持ちます。
ある時、ある看護師が「部屋で一緒に話をしているときは痛みを訴えないような気がする」と切り出します。
すると、他の看護師も「私もそう感じる。心なんじゃないか」
部屋に行く回数を多くして、話を聴く時間をなるべく作りましょう。ということになり、実際に患者さんの痛みが落ち着いて麻薬性鎮痛薬の回数が激減したという例が最近ありました。
私もそこにアロマケアという方法で患者さんに接しましたし、看護師たちもアロマケアという方法も使いました。
キリスト教徒の患者さんの場合は横で一緒に聖書を読むということをする看護師もいます。
それで少し落ち着く患者さんもいます。
ここで言いたいのは『麻薬性鎮痛薬を使わないほうがいい』という訳ではないです。
がん患者さんにアロマテラピーが関わることができるのは、こういう部分が大きいのではないかな?と思うのです。
ホスピスに入院した時、まずやることは『痛みのコントロール』。
痛みが落ち着くと気力が沸いて、食べられなかった食事を少し食べられる患者さんもいます。
『痛み』って身体のことだけではなくて、『その人丸ごとの痛み』にまず理解を示す。
ドクターショッピングと言われる、病院を渡り歩いてしまう患者さんって『自分の痛みや症状を治してくれる医師』というよりも『自分の訴えを理解してくれる医師』を探している場合が多いような気がします。
私たちアロマセラピストは薬の処方はできませんが、まずは理解して『傍にいます』と心で伝える。
そんな『人間版鎮痛剤』みたいな存在になれたらなーと今日の講座を受講して改めて思いました^^
心の痛みを抱えるのは患者さん本人だけではなくて、ご家族など近くでみている方も同じ。
そんな方たちに少しでも役に立てたらいいなっていつも思っています。
アロマのくすり箱講座(痛みを緩和するためのアロマテラピー)ではそんなお話も交えてお伝えしますよ^^