ホスピスは『最期まで生きる場所』
ちょっとした体調不良のケアに
心身のバランス調整に
とても役立つアロマテラピー
今の病院での仕事では『患者さんやご家族が休む時間を作る』ことにとても役立っています。
私は作業療法士として週2回ホスピスに勤務していますが
全身状態が良くなくて、リハビリが行えなくなった患者さんには
希望があればアロマハンドやフットトリートメントを提供しています。
脳外科勤務時代は『失った機能の回復を図る』のが私の仕事でしたが
現在は患者さんやご家族の『希望になるべく沿うためのリハビリ』が私の仕事です。
『なるべく歩ける間は歩きたい』
『もう一度自分の足で重力を感じたい』
『脚が浮腫んでキツイからマッサージして欲しい』
『外の空気が吸いたい』
患者さんのリハビリへの希望は様々です。
患者さんやご家族は、徐々に体力が落ちていくことを自覚しています。
昨日できていたことが、今日できなくなってる
今日できていることが、明日はできないかも知れない
そんな状態を受け入れるのには、本当にパワーが要ると思います。
そんな様子を看ているご家族は、本当に辛いと思います。
先日、意識が朦朧としている患者さんのお部屋に伺いました。
誰か側にいないと不安で、ご家族の姿が見えなくなると「誰かいる?」
と確認するように手を差し出す患者さん。
ベッドに横になった状態でもご家族の姿が見えるようにと、看護師さんたちは部屋のレイアウトをすぐに変えていました。
立ったり・歩いたりのリハビリはできないけれど、身体の向きを変えて圧を逃がしたり(除圧)
手や脚をさすってもらうのがとても好きな患者さん。
私が挨拶すると『いい匂い・・・』とひと言おっしゃいました。
おそらく私の名前は憶えていないけど、アロマの香りをご本人に嗅いでもらったりしているので、『いい匂いを持ってくる人』と認識しているのだと思います。
夜もなかなかぐっすり眠れなくて、それが辛い様子。
お薬を飲んで眠ることをどうしても受け入れきれないご家族。
それは仕方のないことなので、看護師さんたちは一生懸命お薬以外の方法で、ご本人の苦痛を取り除くようにしています。
私がフットトリートメントを始めると同時に、側の椅子に座ってウトウトするお母さん。
お母さんは付きっきりで看病されていて、お母さんもほとんど眠れていません。
お母さんの体力も限界。
同じお部屋にご家族が休めるようにソファベッドが設置されているので
『お母さん、私しばらく居ますから。少し横になって休まれてください』
私がそう言うと、
「いいんですか?すみませんが、お願いします・・・少しだけ」
と横になるとすぐに寝入られました。
トリートメントを行っている間は患者さんも眠っていましたが、長時間はトリートメントは行えないので
その後は『私、居ますよ』と患者さんが分かるように、患者さんの手や脚に触れたり、背中を軽くさすたっり。
「誰かいる?」と手を差し出せば
「居ますよ」と手を握る
それを40分くらい繰り返していました。
作業療法士としての仕事ではないと言われるかも知れませんが。
ホスピスでは家族ケアも重要な看護計画に入ってきます。
看病しているご家族を休ませることも、大切な仕事。
私は作業療法士として勤務しているけど、そんな時間も大切な仕事だと思っています。
これはアロマセラピストとしても十分行える。
患者さんは目をずっと閉じていますが、アロマの香りを嗅ぐと『いい匂い・・・』と本当にホッとしたように話すんです。
トリートメントを行えなくても、これも十分『アロマテラピーだな』と感じています。
ホスピスは『看取る場所』という認識が強いと思いますが
少し前に緩和ケア専門の医師がTwitterでつぶやいていた言葉
『ホスピスは看取る場所ではなくて、最期まで生きる場所です』
私はその言葉が大好きです