『精油を使わない』という選択肢が広げた、医療・介護の場面のアロマケア。
こんにちは。『アロマとハーブの教室 手放す時間』の石川です。
『介護とアロマ』『メンタルヘルスとアロマ』等、毎週水曜日にちょっとしたお役立ち情報をお届けしています。
今日のテーマは疾患を持った方へアロマケアを行う場合の話。
“『精油を使わない』という選択肢が広げた、医療・介護の場面のアロマケア」” です。
アロマテラピーを学んで資格を取得すると、精油を日ごろのセルフケアに取り入れることへのハードルが下がります。
自分だけではなくて、家族のケアにも役立てることができる。
そして、家族以外の誰かのケアにアロマテラピーを。と、学びを深めるにつれて精油を使う相手も広がっていきます。
私もそうでした。
私の場合は趣味の範囲で楽しんでいたアロマの資格を取得しようと決めたきっかけは、作業療法士の仕事に活かせないかと思ったから。
なので、資格取得後は医療や介護の現場にアロマケアを取り入れたいという想いが強かった。
でも、精油って学べば学ぶほど『禁忌』について意識が向くようになります。
使う相手が広がれば広がるほど、禁忌や注意事項について更に気を付ける必要性が出てきます。
かえって精油の中身のことをよく分かっていない時のほうが、遠慮なく使えちゃったり。
日本で学ぶアロマテラピー自体が『病気を治す』ではなくて『健康維持や美容に役立てる』となっているので、極端に変な使い方をしなければ大きなトラブルを招くということも少ないですよね。
でも、疾患を持った方へのアロマケアとなると話は別。
やっぱり禁忌や注意事項を知っているからこそ、精油を使うことが怖くなったり躊躇する気持ちが出てきて、結局使い切れない。ということも。
私はその典型で、デイサービスや訪問看護に勤めていた頃、そこからアロマケアOKの許可をもらっているにもかかわらず、使うことに自信がなくて結局アロマケアそのものが出来ないという期間が長かったです。
そこで私が取った方法が
『精油は使わない』。
アロマケアなのに精油は使わないってなんのこっちゃ?なんですけども。
精油を全く使わないのではなくて、腕や脚のトリートメントに使用するオイルに精油を混ぜないという方法です。
精油はティッシュに1滴落して『香り』として使い、トリートメントオイルには精油を入れない。
それで患者さんの手足をトリートメントしてみて、様子観察。大丈夫そうなら精油を使ってみる。
そんな段階を踏んでアロマケアを導入しました。
『精油は使わない』という選択肢を持ったおかげで、『使う』という方法が広がったのです。
疾患を持った方へのケアにアロマを取り入れる例としては、リラクゼーションが圧倒的に多いのですが、中には手足のむくみに対してアプローチするために用いる場合がよくあります。
トリートメントオイルに精油を入れてむくみの軽減を図るのももちろんありなのですが、むくみのケアって精油がなくともオイルでリンパの流れを促すことによる効果も大きいですよね。
疾患でいうと、リンパ浮腫に対する徒手的リンパドレナージ(アロマトリートメントと近い)も精油入りのオイルを使うことも多いのですが、リンパ浮腫の患者さんに対する徒手的リンパドレナージは治療法の一部であって、実際は運動療法や圧迫法(弾性包帯で持続的に圧迫します)がメインです。
リラクゼーション目的だったとしても、アロマケアは香りだけではなくて、タッチングによる効果も大きい。
だから、怖いのに無理に精油をトリートメントオイルに入れて不安を抱えるよりも、『心配だから使わない』と線引きして他の方法で取り入れてみるのを私はおススメしています。
そして、トリートメント(マッサージのような)自体に不安があるなら、ゆっくり手足や背中、腰をさするだけでも全然OK。
ずっと仰向けに寝ている時間が長いなら、背中の下に手を入れ込むだけでもOK。
これ、気持ちいいんですよ。
手足が思うように動かせないなら、手足を少し持ち上げて圧を逃してあげるだけでも、本人は楽になります。
試せる人は1~2時間くらい寝返りを全く打たずに、手足も動かさずに仰向けになってみてください。
そして、誰かに背中に手を入れてもらってみてください。 手足を少し持ち上げてもらってみてください。
楽になるんですよ。
私自身、腰を2度手術したことがあり、その時に経験しました。
ホスピスでも、全身の浮腫が強くでトリートメントができない患者さんへは、その方法を行いました。
(患者さんが好きな香りをつけたティッシュを近くにおいて香りを楽しんでもらいながら)
『アロマケア』=『アロマトリートメント』とこだわらず、香りを使ったケアは他にも色々あるので、自分の不安がない方法で取り入れてみてください♪
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毎週水曜日はこのように、ちょっとしたお役立ち情報を中心に発信していきますので、お時間ある時にぜひ読んでみてください♪