お迎え体験
こんにちは。『アロマとハーブの教室 手放す時間』の石川です。
『介護とアロマ』『メンタルヘルスとアロマ』等、毎週水曜日にちょっとしたお役立ち情報をお届けしています。
今日は本のご紹介とそれに関連したお話し『お迎え体験』です。
昔から『虫の知らせ』という言葉がありますよね。ネットで調べてみると、『よくないことが起こりそうであると感じること』とあります。
もしかしたら、このブログを読んでいる方の中にも体験したことがある方もいらっしゃるかも知れません。
『虫の知らせ』と同じような意味の言葉で『お迎え体験』というのがあります。
自分の死期が近づいた時に、先に亡くなった親族や可愛がっていたペットが現れるという体験をするというものです。
私がホスピスに勤めていた頃、お迎え体験について語る患者さんが数名いらっしゃいました。
ほとんどは『ご両親が迎えにきている』というものでした。
中には、誰かが迎えにきているというものではなく、これまで意識が朦朧(もうろう)としていた方が、1日だけ意識がはっきりして、普通に会話をするというのも経験しました。
私は最初は『親が夜に様子を見に来るんだよ』と患者さんが話してくれるのに対して、どう応えたらと戸惑いましたが、ご本人はいたって穏やかだったので、『元気そうでしたか?』と問いかけると、『久しぶりに会って安心した』という内容の話をしてくれました。
もしかしたら『せん妄』の一種かも知れないという考えもよぎりましたが、話しているご本人の様子から、どうもせん妄ではなさそうだなと思い、私はリハビリをしながら話を聴いていました。
※せん妄:その方がもともと持っている病気や薬など何らかの理由で一時的に意識障害や認知機能の低下などが生じる精神状態のこと
そんなことが続いて数週間後、患者さんは息を引き取りました。
このような体験は1例だけではありませんでした。
医療者側の視点だと、『せん妄の一種だ』という主張もあります。
でも、直接患者さんが語るのを聴き会話していると、せん妄とはちょっと違う。
私は難しく考えるのをやめて、『もしかしたら本当に来ているのかも知れないな』と考えることにしました。
もし自分の立場だったら、先になくなった両親が心配して様子を見に来てくれたら嬉しい。
『そろそろお迎えかな・・・』と悟ったりするかもしれない。
そのことを誰かに話した時に軽く受け流されて『薬の影響だ』とか言われたら、多分悲しいと思ったからです。
私の祖父の話。
祖父はわたしの兄をとても可愛がっていたので、兄は入院中の祖父のお見舞いに何度も足を運んでいたそうです(遠方のため、私はあまりお見舞いに行けなかった)。
息を引き取る数日前、祖父が兄に対して『新しい橋はもう開通した?』と聞いて来たそう。
祖父の自宅近くに建設中の橋があり、ちょうど開通したばかりでした。
『開通したよ。もう車で通れるよ』と応えると、『じゃあ、来週連れて行ってな』と伝えてきたそうです。
その数日後に祖父は亡くなり、自宅から葬儀場へ向かう途中、兄が葬儀社の方に少し遠回りして欲しいとお願いして、祖父が連れて行ってと言っていた橋を通りました。
兄に橋のことを伝える前は、祖父は全然会話ができない状態だったそうです。
あー、やっぱりそういうことが起きるだなと感じました。
もし、終末期のアロマケアに入っていて『お迎え体験』について伝えてきたら、あなたはどう応えますか?
そんなことを考えされられる本。
ひとつ言えることは、患者さんがお迎え体験について語るのは、『あなたなら話しても大丈夫かな』と思って話している可能性が高いので、どうかゆっくり聴いて欲しいなというのが私の想いです。
上の写真の書籍『お迎え体験』の著者は緩和ケア医で、やはり患者さんの『お迎え体験』については沢山経験したとのこと。
そして、この書籍はご遺族のアンケート結果など、とても興味深い内容でした。沢山の事例が紹介されているので、ぜひ手に取ってみてください。
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